2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

文豪と水道

近隣の水辺を再生してそこに蛍や鮒を呼び戻そうという活動が、日本のあちこちで盛んになっているらしい。こうした自然回帰の動きは東京などの大都市でも進行しており、都市の再生を掲げた都市計画論が書店の一角を賑わせたりもしている。 中でも、石川幹子『…

59年の犬を探して

『革命的な、あまりに革命的な』を知的興奮をもって読了したからといっても、これらの史実が自分の生年以前の過去のものだということを忘れるほど冷静さを失ったわけではないし、かといって現在著者が形成しているだろうある党派に追従しようと思い立ったわ…

『革命的な、あまりに革命的な』

現在『LEFT ALONE』という映画が全国を巡行しつつ公開されているが、その出発点となった絓秀実『革命的な、あまりに革命的な』は、内ゲバを含む思想史論的な劇物と革命への執拗な情念が填まった刺激的な書物であり、それゆえ読み手に慎重な取り扱いを要求す…

ぼくがまだ学生だったある日の夕刻、大学から自転車で下宿に帰ると、玄関先で何かが硝子の破片のように光ったのが目に入った。手にとってみると、それは硬貨よりも小さい昆虫で、黒い楕円の体の尻を鮮緑色に明滅させている。螢を見たのはそれが初めてだった…