2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

竜頭をひねる

日本が北朝鮮の工作員に占領されるという村上龍の新しい小説を読んで、とうとうあの永かった占領が終わったのだという感慨を深くした。占領によって占領が終わった。意味のもつれたこの短文の彼方には、陽当たりのいい文学史のメインストリームにありながら…

狂った果実の行方

「59年の犬」を探し回った先が半世紀近く前の時代だったせいで、右も左もわからないとまではいかないものの、予想もしない史実に突き当たって危うくおでこをぶつけそうになることがあった。石原慎太郎と大江健三郎が「若い日本の会」で政治的に連帯していた…

硝子の雨

誰かに教えてもらった他愛のない話。日本語の話せないフランス人が皆「お菓子をちょうだい」という子供じみた催促を覚えて、この極東の異国にやってくるという噂を小耳に挟んだことがある。Donnez moi un gateau.とフランス語でおねだりすると、日本語の「ど…